佐藤農園のLPでは、Google翻訳を使わない。
速いし、便利だし、まあ悪くない。
でも、あれで訳すと、文章が急に「無味」になる。
畑のちょっとした出来事や、農家の実感や、時々こぼれる独り言みたいなユーモア。
そういう「味」は、機械の直訳では抜け落ちる。
たとえば、これ。
「欲張って三本食べた。うまかった。文句なしに、うまかった。」
意味は通じる。
でも、あの「間」は英語にすると固くなる。
対話しながら訳せば、英語の読者が自然に読めるリズムにできる。
I ate three of them. Maybe I was a little greedy.
But they were good. Really good.
こういう調整は、辞書では出てこない。
もう一つ、別の場面で気づいたことがある。
「かぼちゃとさつまいもの、つるの張り合い」を書いたとき、そのまま訳すと、ただの植物の説明になった。
畑を知らない人には、何が面白いのか伝わらない。
対話しながら直すと、つる同士が場所を取り合う、あの少し滑稽な感じが、ようやく英語にも残った。
- Google翻訳は速いが、文章の「味」が出ない。
- 対話方式は文章の「味」を残せる。農業用語の扱いにも融通がきく。そして、語彙のレベルも読者に合わせられる。
要するに、Google翻訳は「置き換え」。
対話方式は「編集」。
そのくらい違う。
佐藤農園のLPは、ただの農業情報ではない。
二十年、畑に立ってきた人間が、自分の言葉で農業を語る場所だ。
だから英語版も、正しいだけの英語にはしたくない。
「この人が書いた文章だな」と感じられる英語にしたい。
それが、このLPの価値だと思っている。